織機から仕上げまで:今治タオルの製造工程を徹底解説

1. 今治タオルとは?信頼されるブランドの秘密
日本全国はもとより、近年では海外からも高い評価を受けている「今治タオル」。この名は単なる地域ブランドではなく、**“世界に誇る品質”を保証するブランド”**として広く認知されています。では、なぜ今治タオルがそこまで信頼されているのでしょうか。
歴史と風土が育んだタオル文化
愛媛県今治市は、明治時代から続く繊維の町。温暖な気候と良質な地下水に恵まれ、タオル製造に適した環境が整っています。特に、硬度が極めて低い軟水は、糸の精練や染色に最適で、繊維を傷めず、やわらかな仕上がりを実現する大きな要因となっています。
この土地の利とともに、地元の職人たちの飽くなき探究心と手仕事への誇りが、今治タオルの確かな品質を支えてきたのです。
今治タオルブランド認定の厳格な基準
「今治タオル」として名乗るには、今治タオル工業組合が定める品質基準をクリアする必要があります。その中でも有名なのが「5秒ルール」。これは、タオルの一部を水に浮かべて5秒以内に沈むかを確認するテストです。このテストを通過することは、吸水性の高さを証明するものとして広く知られています。
その他にも「洗濯耐久性」「色落ち」「パイル抜け」など、計12項目に及ぶ試験をすべてパスしなければなりません。これほどまでに高い品質基準を設けているブランドは世界的にも珍しく、まさに“本物のタオル”が集う地域ブランドといえるでしょう。
2. 糸づくり:良質な綿選びから始まるこだわり
「良いタオルは、良い糸から」。この言葉は、タオルづくりにおいて極めて本質的な真理を突いています。糸がしっかりしていなければ、どんなに工程を工夫しても良いタオルはできません。今治、そして大浜タオルでは糸作りを最も重要な基礎工程と位置付けています。
世界中から選ばれる高級綿
大浜タオルでは、インドやアメリカ、エジプトなど世界中から選び抜かれた高品質な綿花のみを使用しています。たとえばインドの「シャンカール6」や、アメリカの「スーピマコットン」、さらには超長綿として名高い「ギザ綿」など、それぞれに特性があります。
- シャンカール6:柔らかくて繊維が長く、ふんわりとしたタオル向き
- スーピマ:耐久性と肌触りのバランスが良く、高級ホテル仕様に最適
- ギザ:光沢感があり、贈答品やプレミアムラインに人気
このような厳選された綿花をもとに、タオルに最適な糸を紡いでいくのです。
撚り(より)と番手が風合いを決める
糸の「撚り」具合によって、タオルの柔らかさや耐久性は大きく変わります。撚りが少ない「無撚糸」は、赤ちゃん用やフェイスタオルに人気で、ふわふわとした質感が特徴です。一方で、撚りを強めた糸は丈夫で型崩れしにくく、長期使用にも適しています。
また、糸の太さを示す「番手(ばんて)」も重要です。細番手の糸はなめらかでしっとりした肌触り、太番手の糸はしっかりとした厚みと弾力感をもたらします。
こうした細やかな設計が、機能と肌触りの両立を実現しているのです。
3. 織りの工程:織機が生み出す美しいタオル生地
糸が用意されると、いよいよ織りの工程に入ります。タオル特有の“ふわっとした感触”や“パイルの立ち上がり”は、ここで決まります。
シャトルレス織機の進化と繊細な調整技術
現在、今治で主に使用されているのは「シャトルレス織機」。高速で精密に織れるため、生産効率が高くなり、製品の品質も安定します。
ただし機械任せではありません。織機の調整は職人の経験と勘が必要不可欠です。糸のテンション(張り具合)、打ち込み本数(密度)、パイルの高さをミリ単位で調整し、用途に応じた風合いに仕上げます。
パイルの立ち上がりが吸水性を決める
タオルといえば、**ループ状に立ち上がった「パイル」**が特徴です。このパイルが水分をキャッチすることで吸水性を高めています。
大浜タオルでは、パイルの高さや密度を製品ごとに最適化し、用途に応じたパフォーマンスを実現しています。たとえば、
- フェイスタオル:やわらかく軽やかな仕上げ
- バスタオル:吸水性とボリューム重視
- ギフト用:見た目の美しさや質感にこだわった高密度仕上げ
といったように、用途に合わせた設計がなされています。
4. 精練・染色・洗浄:素材の魅力を最大限に引き出す
織りあがったばかりのタオルは「グレー品」と呼ばれ、見た目も手触りも完成品とはかけ離れています。そこから本来の吸水性・柔らかさ・美しさを引き出すのが、この工程です。
精練:余分なものを取り除く“洗いの技術”
精練とは、糸に残った天然の油分やワックス、不純物を取り除く洗浄工程です。ここで不純物がしっかり除去されていないと、吸水性が落ちたり、肌触りが悪くなったりします。
今治の水は非常に軟らかく、洗浄に最適。この軟水をふんだんに使い、時間をかけてじっくりと洗い上げていきます。これが今治タオル特有の**“ふわっとしているのにベタつかない”**質感の秘密です。
染色と洗い:繊細な色彩と安全性を両立
精練されたタオルは、次に染色工程に移ります。ここでは高い色彩表現力と色落ちしにくい定着性が求められます。
大浜タオルでは反応染料を中心に使用し、肌への刺激が少ない染色を実現。さらに、染色後には複数回にわたり中和・洗浄を行い、化学成分を極限まで取り除きます。これにより、赤ちゃんの肌にも安心して使える品質が確保されているのです。
5. 仕上げと検品:品質に妥協しない最終チェック
タオルの生地が整い、染めも完了したら、いよいよ最終仕上げへと進みます。この段階では見た目・触感・安全性の**「最後の仕上げ」**が施されます。
乾燥とセット加工
乾燥機で水分を飛ばした後、タオルの形を整える「セット加工」を行います。ここで均一なサイズ感、美しい折り目が完成します。
さらに、風合いを柔らかく仕上げる「起毛処理」、表面を滑らかに整える「シャーリング加工」など、製品に応じた技術が用いられます。
厳しい検品体制
最後に待つのは、人の手による徹底した検品です。機械では見抜けない微細なほつれ、色ムラ、異物混入などを目視で1枚ずつ確認。問題があれば即座に除外されます。
この妥協なき検品こそが、大浜タオルの信頼を築いてきた大きな理由です。
6. 大浜タオルの強み:伝統と革新が生むオリジナルタオル
創業から100年以上、今治の地でタオルづくり一筋に歩んできた「大浜タオル株式会社」。ただ品質が良いだけではありません。顧客の要望に応じた柔軟な製造体制と、時代を先取りする開発力が同社の強みです。
オリジナルタオルの企画力と提案力
大浜タオルでは、企業ノベルティ、記念品、販売商品、キャラクターコラボなど、幅広い用途に応じたオリジナルタオルの製造が可能です。
デザインから製織、プリント、仕上げ、納品まで一貫対応。専門の担当者が丁寧にヒアリングを行い、「想いを形にする」タオルづくりをサポートしています。
持続可能な生産と地域への貢献
また、再生可能エネルギーの活用や排水処理の改善にも取り組み、環境への配慮と地域産業の持続的発展を目指しています。こうした姿勢が、企業のSDGs推進にも貢献しています。
7. まとめ:1枚のタオルができるまでの感動
たった1枚のタオルが、ここまで多くの手間と工程を経て作られていることに、驚かれた方も多いのではないでしょうか。原綿の選定から始まり、撚糸、織り、精練、染色、仕上げ、検品まで――その一つひとつに職人の技と心が宿っています。
大浜タオルのタオルは、単なる日用品ではありません。贈る人の想いを届ける、使う人の心を包む、特別な存在です。
今治タオルの魅力を、そして大浜タオルが生み出す“真の品質”を、これからも多くの人に届けたい――。その思いが、今日もまた、新しい1枚のタオルを生み出しています。
