なぜ今治タオルは「使うほどに馴染む」のか―素材・撚り・織り・時間が育てる、日本のタオルものづくりの秘密

新品のタオルを使い始めたとき、
「思ったより硬いな」と感じたことはないでしょうか。
けれど、そのタオルを何度か洗い、
毎日の暮らしの中で使い続けているうちに、
いつの間にか手放せなくなる。
最初よりも、今のほうが気持ちいい。
新品よりも、使い込んだ今のほうが好き。
今治タオルを愛用している人の多くが、
こうした感覚を自然に語ります。
それは決して偶然ではありません。
今治タオルには、「最初から完成させない」
という、ものづくりの思想が根付いているからです。
この記事では、
なぜ今治タオルは“使うほどに馴染む”のかを、
素材、撚り、織り、そして時間という視点から丁寧にひもときます。
あわせて、70年以上タオルづくりを続けてきた
大浜タオルが手がけるオリジナルタオル・OEMが
なぜ長く選ばれ続けているのかも、自然な流れでお伝えします。
「最初の柔らかさ」よりも、「育つ柔らかさ」
市場には、触った瞬間から驚くほど柔らかいタオルも多くあります。
しかしその一方で、数回洗っただけで
ごわついたり、吸水性が落ちたりするものも少なくありません。
今治タオルが目指してきたのは、
一瞬の感動ではなく、時間とともに深まる満足感です。
洗濯を繰り返し、
日常の中で使われ、
繊維がほどけ、空気を含み、
その人の暮らしに合わせて変化していく。
この「変化する余地」こそが、
今治タオルの価値の本質だと言えるでしょう。
綿という素材を、どこまで信じるか
すべての始まりは、素材です。
今治タオルは、
綿本来の性質を最大限に引き出すことを前提に作られています。
そのため、原綿の選定では、
繊維長、強度、油分のバランスが重視されます。
短い繊維が多い綿は、
毛羽立ちやすく、耐久性が落ちます。
一方、繊維が長く均一な綿は、
糸にしたときに安定し、
使い込むほどにしなやかさが増していきます。
大浜タオルでは、
オリジナルタオルやOEMの用途を丁寧にヒアリングしたうえで、
最適な原綿の設計を行います。
「どんな人が、どんな頻度で、どんな場面で使うのか」。
素材選びは、その未来を想像することから始まります。
撚り(より)の設計が、タオルの“未来”を決める
タオルの性格を決定づける最大の要素。
それが、撚り(より)です。
撚りとは、綿の繊維を束ね、
回転させながら一本の糸にする工程のこと。
この撚りの強さによって、
糸の柔らかさ、吸水性、耐久性は大きく変わります。
撚りを強くすれば、糸は締まり、丈夫になります。
しかし同時に、繊維同士が強く結びつき、
水を吸う隙間が減り、
肌に触れたときの感触は硬くなりがちです。
一方、撚りを甘くすると、
糸の中に空気を含む余白が生まれます。
この余白が、
ふくらみのある触感と高い吸水性を生み出します。
今治タオルが採用しているのは、
この甘撚りを基調とした糸づくりです。
ただし、甘撚りは諸刃の剣でもあります。
糸は切れやすくなり、
毛羽落ちや型崩れのリスクも高まります。
だからこそ、
甘撚りを成立させるには高度な設計と経験が必要になります。
大浜タオルでは、
用途に応じて撚りの度合いを細かく調整します。
記念品として長く使われるオリジナルタオルなのか、
業務用途で頻繁に洗われるOEMなのか。
同じ「柔らかさ」でも、
求められる性質はまったく異なります。
織り(おり)の精度が、甘撚りを“強さ”に変える
甘撚りの糸は、そのままでは扱いが難しく、織りの工程で切れやすいという弱点があります。
その弱点を補い、むしろ長所へと転換するのが、今治に蓄積されてきた織りの技術です。
タオルの織りで特に重要なのが、パイル(ループ)の設計です。
パイルは、水分を吸収する器であり、肌が直接触れる表面でもあります。
その長さ、密度、均一性は、吸水性と触感を左右します。
経糸と緯糸のテンションが強すぎれば、タオルは締まり、硬くなります。
弱すぎれば、パイルが不揃いになり、毛羽落ちや型崩れが起きやすくなります。
ここに、明確な正解はありません。
糸の性格、用途、洗濯環境によって、最適なバランスは変わるからです。
今治の織りは、この“ちょうどよさ”を経験と感覚で掴み続けてきました。
大浜タオルのオリジナルタオルやOEMでは、完成直後の見た目だけでなく、
「半年後、1年後にどうなっているか」を前提に織りの設計が行われます。
洗濯を重ねても、パイルがへたりにくく、
触感が安定し、吸水性が落ちない。
この差は、使い続けるほどに、確実に現れてきます。
今治の水が、仕上げを完成させる
織り上がったタオルは、瀬戸内の軟水で丁寧に洗い上げられます。
この水は不純物が少なく、綿本来の油分を残しながら、余分な糊や汚れだけを落とします。
化学的な柔軟加工に頼らず、水と時間で仕上げるからこそ、使うほどに自然な柔らかさが育っていきます。
オリジナルタオルが、暮らしに残る理由
オリジナルタオルは、配った瞬間よりも、
使われ続ける時間に価値があります。
最初は企業ロゴを意識していたタオルが、
やがて生活の定番になり、
気づけば毎日使われる存在になる。
大浜タオルのオリジナルタオルは、
「半年後も、選ばれているか」を基準に設計されています。
OEMに求められる、再現性と持続性
OEMでは、品質の高さに加えて、安定供給と再現性が求められます。
一貫生産体制を持つ大浜タオルは、仕様調整や数量変動にも柔軟に対応しながら、
“使うほどに馴染む品質”を安定して届けてきました。
タオルは、時間と一緒に使うもの
今治タオルが「使うほどに馴染む」のは、
素材、撚り、織り、そして時間が丁寧につながっているからです。
最初から完成させない。使われながら完成していく。
それが、今治タオルであり、大浜タオルのものづくりです。
